【Case38:みろくの里の場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
2026年5月23日に広島県福山市の遊園地「みろくの里」で開催される、大型交流イベント「みろくコンパ ~夜の遊園地!まるっと貸し切り!大合コン!~」についてご紹介します。

このイベントは、夜の遊園地を貸し切り、参加者同士がアトラクションやライトアップされた園内を楽しみながら自然に交流できる大型コンパ企画です。今回で4回目の開催となり、過去には毎回2,000名以上が参加している人気イベントとして注目されています。
当日は、観覧車をはじめとしたアトラクションが乗り放題となるほか、アルコールを含むドリンク飲み放題、相性のよい相手を探せる企画、カップル成立者への特典なども用意されています。単に人を集めるだけではなく、初対面同士でも会話や行動が生まれやすい仕掛けが重ねられている点が特徴です。
夜の遊園地という非日常空間を活用し、地域内の出会いを促進する本企画は、若者の県外流出という地域課題にもつながる取り組みです。閉園後の時間を“特別な出会いの場”として再編集した、施設活用型のマーケティング事例として注目されています。
「出会いたいけど動けない」現代の恋愛事情
──関屋さん、最近は“草食系”という言葉も定着していますよね。
関屋:そうですね。今は恋愛に対して積極的な人が減ってきています。
「恋愛したい気持ちはあるけど、自分から動くのは面倒」「連絡を取り続けるのが大変」と感じる人も多い。
結婚や子どもに対する価値観も多様化していますし、そもそも異性と自然に関わるきっかけ自体が減っているんです。
「自分から声をかけなくていい」仕組みが重要
──みろくコンパは、普通の街コンとは少し違いますよね。
関屋:そうなんです。ポイントは、“自分から積極的に動かなくても交流が生まれる”ことです。
遊園地という空間があることで、アトラクションに乗ったり、一緒に歩いたりする自然な理由ができる。
ゼロから会話を始めるより、かなりハードルが下がるんです。
特に観覧車や絶叫系アトラクションは、いわゆる「吊り橋効果」も起きやすい。
ドキドキした感情を、一緒にいる相手への好意として錯覚しやすくなるんですね。
「遊園地」という環境自体が交流のハードルを下げる
──みろくコンパは、普通の街コンとは少し違いますよね。
関屋:そうなんです。ポイントは、“自分から積極的に動かなくても交流が生まれやすい環境”になっていることです。
遊園地という空間があることで、アトラクションに乗ったり、一緒に歩いたりする自然な理由ができる。ゼロから会話を始めるより、かなりハードルが下がるんです。
特に観覧車や絶叫系アトラクションは、いわゆる「吊り橋効果」も起きやすい。
ドキドキした感情を、一緒にいる相手への好意として錯覚しやすくなるんですね。
あと、最近の出会いの場では、ブレスレットや目印などで「恋愛目的なのか」「友達づくりなのか」を分かりやすくする仕組みを取り入れているケースもあります。
今の若い世代は、“空気を間違えたくない”感覚が強いので、相手の温度感が見えるだけでも安心感につながるんです。
地域課題の解決にもつながる
──地域活性化の側面もありそうですね。
関屋:ありますね。地方では若者の流出や未婚率の上昇が課題になっています。だから、こういうイベントは単なる集客ではなく、地域課題や社会課題の解決にもつながる可能性がある。
「若者同士が自然につながれる場所を作る」という意味では、行政とも連携しやすいテーマなんです。
“遊び”として受け入れやすい形にしながら、結果的に地域コミュニティや人間関係を作っている。そこが上手いですよね。
まとめ:現代人に必要なのは「自然に出会える場」
みろくの里の「みろくコンパ」は
・自分から動くのが苦手
・恋愛の温度感がわからない
・連絡や駆け引きに疲れてしまう
そんな現代の若者心理をうまく捉えたイベントでした。
遊園地という非日常空間を使いながら、“出会い”を強制しすぎない。
自然に会話や接点が生まれるよう設計することで、参加ハードルを下げている。
恋愛イベントというより、「人と自然につながれる場」を作ったことが、この企画の大きなポイントなのかもしれません。
──関屋さん、本日もありがとうございました!