【Case33:TERA Energy株式会社の場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜

マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com

2026年3月14日・15日の2日間、京都・東本願寺前「お東さん広場」で開催される体験型イベント「ごえんさんエキスポ2026 恋バナ縁日」についてご紹介します。

このイベントは、全国から約50名の僧侶が集まり、来場者が恋愛の悩みを気軽に相談できるというユニークな企画です。ホワイトデーにあわせて開催され、恋愛に悩む若者に対して、仏教の考え方をもとにしたアドバイスや新しい気づきを提供する場となっています。近年、若者の“恋愛離れ”が話題になる一方で、「恋愛相談をできる相手がいない」という人も多く、特に若い世代では誰にも相談せず悩みを抱え込むケースが増えているといわれています。

そこで本イベントでは、僧侶が第三者として恋愛相談に応じることで、励ましや否定ではなく、悩みとの向き合い方を考えるきっかけを提供。寺院という場所ならではの落ち着いた空気の中で、恋愛の悩みを少し違った視点から見つめ直せる、新しいコミュニケーション型イベントとして注目を集めています。

「恋愛相談できる人がいない」という現代の悩み

──関屋さん、僧侶に恋愛相談というのはかなりユニークですよね。

関屋:そうですね。でも、背景には「相談できる相手がいない」という若者の状況があります。恋愛の悩みって、友達にも家族にも言いづらいことがありますよね。

そういうとき、第三者に話せる場所があるだけで気持ちはかなり軽くなる。
お寺という場所は、そもそも人生の悩みを相談する文化がある場所ですから、実は相性は悪くないんです。

仏教だからこそできる「明らめる」という考え方

──恋愛相談と仏教の組み合わせは意外ですが、意味はあるんでしょうか。

関屋:ありますね。仏教には「明らめる」という考え方があります。
これは、物事を無理に変えるのではなく、状況を受け止めて理解するという考え方です。

恋愛の悩みって、解決策をもらうよりも「自分の気持ちを整理すること」が大事だったりしますよね。
僧侶が話を聞くことで、悩みを整理するきっかけになる。

浄土真宗などの教えをベースにしながら、若者の悩みに寄り添う形になっているのが面白いところだと思います。

「僧侶の話だけ」では人は来ない

──ただ説法を聞くだけだと、若者はなかなか来なさそうですよね。

関屋:そうなんです。もし「僧侶の話を聞くイベントです」と言われても、なかなか参加しない人が多いと思います。

でも今回は「恋愛相談」という入口がある。
そこからお寺や仏教の考え方に触れるきっかけが生まれるんです。

最初の接点を作ることが大事で、一度説法や考え方に触れると「また来てみたい」と思う人も出てくる。体験として記憶に残りやすい設計ですね。

「話すだけ」で終わらない体験設計

──今回のイベントは、体験要素も多かったですよね。

関屋:そこがよく考えられていると思います。例えば「未練データを削除する」という体験。恋愛の未練や思い出をデータとして消すような演出がある。

ただ相談するだけではなく、何か“得られるもの”がある。
アウトプットがあると、人は行動しやすくなります。

恋愛相談喫茶などもそうですが、「来たことで何か体験できた」という実感があると満足度が上がるんです。

行動を促す「インセンティブ」

関屋:イベントとしてうまいのは、参加する理由がちゃんと用意されていることです。
恋愛の悩みを話すこともそうですが、「未練を手放す」「気持ちを整理する」といった体験がある。

人は「話すだけ」より、「何かが変わるかもしれない」と思えると行動しやすくなる。
そうしたインセンティブが設計されているのが、このイベントのポイントですね。

まとめ

僧侶と恋愛相談という一見ミスマッチな組み合わせですが、
・相談できる第三者の存在
・仏教の「明らめる」という考え方
・体験として残る仕掛け

これらが組み合わさることで、若者が自然と参加したくなるイベントになっていました。

従来の宗教イベントの枠を超え、「悩みを共有する場所」として新しい接点をつくったこの企画。
現代の若者の心理をうまく捉えたマーケティング事例と言えるでしょう。

──関屋さん、本日もありがとうございました!

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