【Case34:フリュー株式会社の場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
2026年3月20日から4月5日まで、東京・渋谷で開催される体験型展示イベント「ウチらのプリ展 〜Dear令和 By平成〜」についてご紹介します。

このイベントは、プリントシール機を展開するフリュー株式会社が「プリントシール機30周年」を記念して企画したもので、平成世代にとっては懐かしく、令和世代にとっては新鮮に映る“プリ文化”を体験できる展示となっています。会場では、歴代のプリ機の振り返りや平成の人気機種の復活展示、思い出のプリクラをテーマにしたユニークな展示などが用意されており、プリクラを単なる撮影機器ではなく「コミュニケーションを生む遊び」として再発見できる内容になっています。
また、最新のプリ機体験コーナーも設けられており、懐かしさを感じるコンテンツと現在のプリ文化を同時に楽しめる構成となっているのも特徴です。世代を越えて楽しめる空間を通して、プリクラを“商品”ではなく“文化”として再定義するブランディング施策として注目を集めています。
平成カルチャーが再び注目される理由
──関屋さん、最近「平成ブーム」ってよく聞きますよね。
関屋:そうですね。平成カフェやギャルファッションなど、平成文化が再び注目されています。
流行というのはだいたい20年くらいの周期で戻ってくることが多いんです。一度ブームになったものは、形を変えてまた注目されやすい。
たとえば、たまごっちなどもそうですよね。
プリクラも同じで、当時の文化をそのまま体験できる場所は、それだけで価値が生まれるんです。
令和世代には「新鮮」、平成世代には「懐かしい」
──世代によって感じ方も違いそうですね。
関屋:そうなんです。平成を経験した世代にとっては懐かしさがありますし、令和世代にとっては逆に新鮮に映る。
今の若い世代は、当時の流行をリアルタイムで知らない人も多いので、「こんな文化があったんだ」と新しい体験になるんです。
つまり、同じコンテンツでも世代によって意味が変わる。
それが幅広い層に刺さる理由ですね。
プリクラは「遊び方」が変わってもいい
──昔と今では、プリクラの楽しみ方も違いますよね。
関屋:そうですね。昔は落書きをしたり、シールを印刷して手帳に貼ったりするのが定番でした。でも今は、必ずしもそうする必要はない。
落書きをしなくてもいいし、印刷しなくてもいい。
データとして残したり、撮影そのものを楽しんだり。楽しみ方に柔軟性があるんです。
この自由さが、長く文化として続いている理由の一つだと思います。
「常時接続」に疲れた若者に刺さる体験
──令和の若者にとっても魅力はあるのでしょうか。
関屋:あると思います。今の若者はSNSなどで常にオンラインにつながっている状態が当たり前ですよね。便利な一方で、そこに疲れを感じている人も多い。
そういう中で、平成の世界観に浸る体験は一種の癒しになるんです。
プリクラを撮っている間だけ、少し別の時代にいるような感覚になる。これはデジタルデトックスに近い感覚かもしれません。
「理由なく写真を撮る」楽しさ
関屋:もう一つ面白いのは、プリクラって“理由がなくても写真を撮る文化”なんですよね。
旅行やイベントの記録ではなく、「なんとなく撮ろうよ」という軽いノリ。
今はスマホでいくらでも写真を撮れる時代ですが、プリクラはその行為自体がイベントになる。
つまり「写真」ではなく「体験」を売っているんです。
まとめ:プリクラは“体験文化”として生き残る
フリューの「プリ展」は、単なる懐かしさのイベントではなく、
・平成文化への没入体験
・世代を越えた新鮮さ
・リアルな場で写真を撮る楽しさ
これらを組み合わせた企画でした。
プリクラは、撮った写真そのものよりも「撮る時間」や「一緒に楽しむ体験」に価値があります。
その体験を平成という世界観で包み込むことで、来場者はその瞬間だけ“平成にいる感覚”を味わうことができる。
こうした心理的な体験価値を活かすことで、プリクラ文化はこれからも形を変えながら生き続けていくのかもしれません。
──関屋さん、本日もありがとうございました!