【Case37:ウッドデザインパークの場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
2026年5月7日から、ウッドデザインパーク株式会社が販売を開始した「GW明け限定お得に泊まれるご褒美グランピングプラン」についてご紹介します。

この取り組みは、ゴールデンウィークの繁忙期が終わったあと、集客が落ち込みやすい時期に向けて展開された宿泊プランです。対象となるのは、愛知県瀬戸市にある「ウッドデザインパーク瀬戸」で、2026年5月7日から5月24日までの宿泊者に向けて、連休明けだからこそゆったり過ごせる“ご褒美時間”を提案しています。
同施設は、「懐かしさとあたたかさに包まれる時間」をコンセプトにした自然豊かなグランピング施設です。にぎやかな連休を避けたい人や、ゴールデンウィーク中に休みを取れなかった人に向けて、混雑が落ち着いたタイミングでリラックスできる新たな過ごし方を打ち出しています。
「GW=繁忙期」と捉えるだけでなく、あえて連休後の“谷間”に目を向けることで、施設側の集客課題と利用者側の「ゆっくり休みたい」というニーズをつなげた、タイミング設計のうまい販促事例として注目されています。
「頑張る」より「整える」が重視される時代
──関屋さん、最近“ウェルビーイング”という言葉をよく聞きますよね。
関屋:そうですね。以前は「とにかく成果を出す」「効率を上げる」という考え方が中心でしたが、最近は“自分の心身を整える”ことへの関心がかなり高まっています。
コロナ禍を経て「健康は自分で管理しないといけない」という意識が強くなったのも大きいですね。
その流れで、サウナやマインドフルネス、ウェルビーイングといった考え方が広がっている。
「運動した後に自主的にサウナへ行く人」は意外と少ない
──健康意識が高まっている一方で、実際に行動を続けるのは難しいですよね。
関屋:そうなんです。例えば、運動したあとに自主的にサウナへ行ったり、しっかりケアまで続ける人って実はそこまで多くない。
だから最近のマーケティングでは「健康にいいですよ」だけではなく、“気持ちよさ”や“ご褒美感”をセットにすることが増えています。
Diorなどの高級ブランドも、単なる商品ではなく「整う体験」そのものを提案していますよね。
「孤立」と「孤独」は違う
──現代人の“孤独感”も関係しているのでしょうか。
関屋:かなり関係しています。
ただ、ここで大事なのは「孤立」と「孤独」は別ということです。
一人で過ごすのが好きな人もいますし、一人行動そのものが悪いわけではありません。
ランニングも、一人で走る方が好きという人は多いですよね。
でも、“社会的に孤立している状態”が続くと、健康面やパフォーマンス面に悪影響が出やすい。
主観的に「寂しい」「つながれていない」と感じる孤独感が強い人には、サポートが必要になる場合もあります。
健康行動は「誰かとやる」と続きやすい
──一人で頑張るより、誰かとやる方が続くんでしょうか。
関屋:心理学的にはその傾向があります。
ランニングや筋トレも、グループでやる方が継続率が上がりやすいんです。
人は「誰かと一緒」というだけで行動が習慣化しやすくなる。
最近のウェルビーイング系サービスが、コミュニティやイベントを重視するのもそのためですね。
単に健康になるだけではなく、“つながり”を提供しているんです。
「ウェルビーイング経営」が求められる時代へ
──企業側の考え方も変わってきていますよね。
関屋:はい。以前は“資本”や“利益”を最優先に考える企業が多かったですが、今は社員の幸福度や健康を重視する「ウェルビーイング経営」への注目が高まっています。
もちろん簡単ではないですが、「働き続けられる環境」を作ることが、結果的に企業の価値にもつながる。
特に若い世代は、“給与だけ”では会社を選ばなくなっていますから。
まとめ:現代人が求めているのは「整う体験」
近年のウェルビーイングブームの背景には、
・コロナ以降の健康意識の高まり
・常に忙しい社会への疲れ
・孤独感やストレスの増加
といった現代特有の課題があります。
だからこそ今は、「効率化」だけではなく、
“心と身体を整える体験”そのものに価値が生まれている。
商品を売るだけではなく、「どう過ごすと心地いいか」を提案する。
そこに、これからのマーケティングのヒントがあるのかもしれません。
──関屋さん、本日もありがとうございました!