ナレッジ・ノウハウ 著者:blogle編集部

【Case45:IKIGAIの場合】マケシリ〜当たり前の価値は、相手が変わるとどう見える?〜

【Case45:IKIGAIの場合】マケシリ〜当たり前の価値は、相手が変わるとどう見える?〜

マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋裕希さん

PROFILE

関屋 裕希Yuki Sekiya

1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身

せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

今回は、日本の「生きがい」が海外で「IKIGAI」として紹介され、再び日本へ届いた事例に注目します。

『IKIGAI シンプルに、豊かに生きる』日本語版の表紙
『IKIGAI シンプルに、豊かに生きる』。書影:PHP研究所

エクトル・ガルシアとフランセスク・ミラージェスによる英語版『Ikigai』は2017年刊。日本では2025年12月に、この本と続編を抄訳合本した『IKIGAI シンプルに、豊かに生きる』が刊行されました。

私たちが日常で使っている言葉も、別の文化から見ると新鮮な価値になる。一方で、伝えやすく説明するうちに、もともとの意味が変わってしまうこともありそうです。関屋さんとの話は、その両面へ広がりました。

※対談は、発言の趣旨を保って抜粋し、話題ごとに順序と表現を整理しています。

日本の「当たり前」が、別の場所で価値になる

──『生きがい』という本ですか。面白そうですね。

関屋:英語版には『Ikigai』と、続編の『The IKIGAI Journey』があるんです。それを一つにして、改めて日本語でも出たんですよね。

こういうことが時々起こるなと思っていて。日本ならではの概念が海外で良さを見出されて、逆輸入されてくる。そういう枠組みは、マーケティングでも面白いかもしれないなと思います。

別に国を越える話でなくてもいいと思うんです。たとえば、ある業界では目が出なかったものが、全然違う領域で日の目を見る、とか。

領域や前提、文化が違うからこそ、良さが見出されることがあるんだろうなと思って。

「釣りが生きがい」にも、その人らしい意味がある

──哲学的な部分があって、面白いですね。

関屋:私たちが「生きがい」と使うときって、「釣りが生きがいです」と言うこともありますよね。ゲームが生きがい、ということもあると思うんです。

でも、説明の仕方によっては、働く意味の話になっていくんですよね。

分かりやすく整理すると、仕事やお金に寄っていく

対談では、好きなこと・得意なこと・求められること・収入につながることという、四つの要素を重ねる考え方も話題になりました。

──起業したいけれど何をしていいか分からない、という人に、大切にしている価値観と、得意なことと、今やりたいことを掛け合わせる考え方を紹介することがあります。そこに、稼げることという要素が加わっているんですね。

関屋:そうですね。ただ、ちょっと働くことやお金に寄っているな、というところはありつつ。

──得意なことが、そのまま稼げることとは限らない。稼ぎにつながらない得意なこともありますよね。

関屋:ありますね、もちろん。

自分にとって自然なことほど、得意だと気づきにくい

──意外と、自分が何を得意としているか分からない人も多いですよね。

関屋:そうですね。得意なことは自然にできてしまうことなので、自分で気づくのはすごく難しいですね。

──呼吸するようにできるから、自分の中では普通になっていて、強みだという自覚を持ちにくい。ほかの人からどう見えるかが大事なんでしょうね。

ただ、それを得意とする人たちの集まりに入れば、また普通になっていく。どのコミュニティやポジションで、どう強みを発揮するか。役割の取り方も含めて考える話なのかなと思います。

関屋:そうなんです。上と比べすぎると、やっぱりしんどいですよね。

まとめ

「IKIGAI」の話で印象に残ったのは、自分たちにとって当たり前のものが、相手や場所を変えると違った価値を持つことでした。同時に、「釣りが生きがい」という言葉が、仕事や収入の枠だけでは捉えきれないことも、関屋さんの話から見えてきました。

自社の商品を別の顧客に紹介するときも、伝えやすい一言を探すだけでなく、相手が何に価値を感じ、その説明で何がこぼれるのかまで確かめたい。身近な言葉から、価値の見せ方を考え直す対談になりました。

──関屋さん、本日もありがとうございました!

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