【Case18:PLAZAの場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜

マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com

​株式会社スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが展開するライフスタイルストア「PLAZA」は、新たなギフト提案プロジェクト「HEARTS UP! GIFT」を開始しました。

​このプロジェクトでは、ギフトにまつわる「感情」に焦点を当て、PLAZAでの新しいギフト選びをしています。

​特設サイトでは、「ホッコリ」「ドキドキ」「キュン」「ジーン」など、8つの感情カテゴリーに分けておすすめのギフトアイテムを紹介しており、相手の感情を想像しながらギフトを選ぶという新しい購買体験を提供しています。

​また、テレビCMでは、ギフト選びの楽しさを伝えるため、アイテムを選ぶ「人」に着目した内容となっており、友達同士や親子、カップルなど様々な関係性の登場人物たちが、表情豊かにギフトを選ぶ様子が描かれています。

​このように、「ギフト」×「感情」という親和性の高い切り口をコンセプトにすることで、ギフト市場における新たなブランドイメージの確立が期待されています。

今回の「HEARTS UP! GIFT」についてどう思いましたか?

関屋:まず「感情」に注目してギフトを選ぶという発想がとても面白いと思いました。多くの人は「誰に渡すか」までは考えても「どんな気持ちにさせたいか」まではなかなか意識していないんです。

でも人は感情に動かされてモノを買います。だから感情を軸にすることで、より選びやすく、結果的に購入にもつながりやすくなるんですよ。

感情って、なかなか言葉にしづらいですよね

関屋:そうなんです。だから今回の「ホッコリ」「キュン」「ドキドキ」などの擬音語・擬態語の使い方が上手いなと思いました。感情を擬音語や擬態語で表現することで、相手の表情やシチュエーションをイメージしやすくなる。

たとえば「ウキウキ顔のあの子に」って書いてあるだけで、誰にあげるか、どうなってほしいかが明確になりますよね。

たしかに、擬音語だと直感的に伝わりますね

関屋:そうなんです。それが「欲求」を刺激するんですよ。人間は感情が動くと、行動に移しやすくなる。「このギフトをあげたら、あの人がこんな気持ちになるだろうな」と想像するだけで、自分も嬉しくなる。送る側の感情も変わるんです。

ターゲット層についてはどう思いましたか?

関屋:これまでのギフト提案って、「女性向け」「男性向け」「子ども向け」みたいな、性別や年齢といった属性に偏りがちだったんです。でも今回のPLAZAの施策は、そうした固定概念から少し外れていて「感情」や「関係性」といった切り口に変えているんですよね。

つまり「属性」ではなく「気持ち」なんですね。

関屋:そうですね。誰にでも当てはまる普遍的な「感情」に注目しているから、幅広い年代の人に刺さる可能性がありますよね。

たとえば、10代でも40代でも「ジーンとするギフト」は成立しますよね?年齢や性別よりも、そのときの気持ちに合った商品を選んでもらうという仕組みは、購買意欲をぐっと高めてくれます。

誰かの「笑顔を想像して選んだもの」って、心に残りますよね

関屋:そう。それが、今回の「HEARTS UP! GIFT」がうまく作り込まれているポイントです。今後もこうした“気持ち”を軸にしたプロモーションが増えてくると、もっと人に寄り添ったマーケティングができるようになるんじゃないかなと思います。

関屋さん、本日もありがとうございました!

share

  • facebookでシェア
  • Twitterでシェア