資料ダウンロードのフォーム、会社名は最初に必要か
資料ダウンロードの入力欄を減らしたい。けれど、会社名を外そうとすると「営業で必要だから残してほしい」と言われる。フォームの改善で迷いやすいのは、こういう場面ではないでしょうか。
その話し合いには、直近の資料請求を一件持っていくと話が進みます。受付から担当の振分け、資料の送付までたどり、会社名が使われた箇所を確かめる。必須にするかどうかは、そこで必要だった仕事から決めます。
BtoBの資料請求フォームには、今聞く、後で聞く、入力を補助するという選択肢があります。会社名の一行を例に、残す理由と入力の手間を一緒に考えます。
会社名を、回答の後で誰が使っているか
英国政府のサービス設計ガイドには、質問を追加する前に、その情報が必要な理由や使い道を明らかにする考え方があります。画面上の質問文とは別に、回答をどう使うかを整理する「question protocol」です。GOV.UKの原文では、誰に答えてもらう必要があるか、正確さをどう確かめるかにも触れています。
行政サービスの設計指針ですが、資料請求の会社名にも持ち帰れる問いです。「営業で必要」の続きを、もう少し具体的にしてみます。
たとえば、既存のお客様からの資料請求を、担当営業へ回すために会社名を使っているとします。ここで会社名を消すと、今ある対応に影響します。会社名の入力以外に識別する方法がなければ、残す理由はあります。
一方、顧客管理システムには保存しているものの、誰も会社名を見て対応を変えていない場合はどうでしょう。「いずれ営業で使うかもしれない」と「今回の資料を渡すために必要」は、同じ要求ではありません。相談や商談を申し込む段階で聞く、という選択も出てきます。
この二つは、実在企業の調査結果ではなく、判断の違いを示す例です。同じ入力欄でも、その後の仕事が違えば、残す理由は変わります。
任意にすれば終わり、でもない
削除は難しいので、ひとまず任意にする。双方が納得しやすい変更ですが、何に使うかが曖昧なままなら、問題を先送りしただけかもしれません。
アイルランドの保健サービスHSEも、任意の質問には具体的な必要性があるかを問う指針を公開しています。任意の情報を求める場合には、その理由を伝えるとしています。
入力する側から見れば、任意と書かれた会社名にも考える手間はあります。所属先を書いてよいのか。個人で調べているが、会社名を出した方がよいのか。書かないと資料の案内が変わるのか。任意という表示だけでは、そうした疑問が全部なくなるわけではありません。
もし回答を使う場面がはっきりしているなら、フォームの説明も具体化できます。既存顧客の担当確認に使うのか、法人向けの相談受付なのか。ただし、実際には営業連絡に使うのに「資料をお届けするため」とだけ書くなど、用途を小さく見せる説明は避けたいところです。
反対に、理由を説明しようとして言葉に詰まるなら、それは質問を残すか話し直すきっかけになります。入力欄を減らすための交渉ではなく、回答を使う仕事を決める話へ戻せます。
必要な情報なら、入力そのものを軽くできるか
会社名が今の対応に必要だと分かっても、すべてを手入力してもらう必要があるとは限りません。タイムズビジネスサービスの資料ダウンロードフォームには、法人番号を入力すると国税庁の公表情報をフォームに反映する機能があります。法人名の欄を残しつつ、入力を補助する実例です。
ただし、法人番号を知らない人には、番号を調べる手間が増えます。このフォームも番号が不明な人向けの案内を置いています。入力補助を足せば誰にでも楽になる、とは決めず、利用者が番号を手元に持っているか、反映後に誤りを直せるかまで見ます。公開画面で確認できるのは機能の存在で、離脱率への効果ではありません。
一件の流れを、項目の変更前後で比べる
見直しは、直近の資料請求を一件、受付担当者とたどるところから始められます。社名や連絡先を社外へ持ち出す必要はありません。確認するのは、その項目が仕事のどこで使われたかです。
回答が届き、担当者が決まり、資料が渡り、その後に連絡があった。会社名が必要だったのは、どの段階でしょう。担当を決めるときに使ったなら、振分けの仕組みと一緒に見直す。商談が始まるまで使わなかったなら、その時点へ質問を移せないか考える。一件だけで全体を決めず、異なる対応になった例も確かめます。
変更後は、資料を受け取れた人が増えたかだけでなく、担当の振分けに困っていないか、追加確認が増えていないかも営業と見ます。資料を読んだ人の数と、相談に進んだ人の数は分けて追います。項目を一つ削っただけで、売上が伸びたとまでは言えません。
フォームの向こうには、入力する人と、回答を受け取って動く人がいます。会社名の一行をどうするかは、その間にある仕事を見直す機会でもあります。
資料の案内から問い合わせまで、顧客に何を伝え、何を尋ねるかを整理したい場合は、サイトの導線についてご相談ください。
お悩みやご相談はありませんか?
マーケティング・経営に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談は無料です。しつこい営業は行いません。