【Case47:ゆめみ保健室の場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。
今回は、対談で挙がった事例に、関屋さんが別に公開している相談支援の解説を併せて読みます。

PROFILE
関屋 裕希Yuki Sekiya
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
今回は、IT企業ゆめみで生まれた「ゆめみ保健室」を取り上げます。体調のことだけでなく、仕事やキャリアの悩みも扱う相談先です。親しみやすい名前を付ければ、相談しやすくなるのでしょうか。関屋さんが対談で紹介した窓口の役割と、別に公開している相談支援の解説を手がかりに、名前の先に伝えるべきことを考えます。
設立に携わった佐久間史子さんは、日本マンパワーのインタビューで、相談室やカウンセリングルームという名前への抵抗を考え、学生時代に何となく立ち寄って話せた「保健室」を名前に選んだと話しています。
また、本人の公開記録には、キャリアとメンタルヘルスの相談、定期面談、社内外の専門家との連携が記されています。名前を付けるだけでなく、その奥にどのような支援を用意するかも考えられた取り組みです。
※2025年6月の対談から、発言の趣旨を保って抜粋・整理しています。当時の取り組みを扱います。ゆめみは2025年12月1日にアクセンチュアと合併しています。
会社の中に、どんな相談先を置くか
関屋:ゆめみという会社があるんですけど。
──ゆめみ、聞いたことがあります。
関屋:IT企業なんですけど、保健室を結構うまく活用している感じなんです。ユニークな位置付けで、保健室を立ち上げていて。
保健室にいる方も、キャリアコンサルタントやEAPメンタルヘルスカウンセラーなんですよね。
会社の中にこういう機能があったら面白い、という事例かなと思います。
関屋さんの公開解説から:相談の後を想像できること
ここからは当日の対談ではなく、関屋さん本人の公開解説を参照します。2019年の「日本の人事部」インタビューでは、社員が感情を話せる場と、それを受け止める人の存在を重視しています。窓口の名称を一つに決める話ではなく、気持ちを表せる環境についての説明です。
また、2021年の本人寄稿では、同僚を専門家へつなぐ際に、利用できる支援や相談内容の秘密が守られることを伝える意味を説明しています。相談するかを考える人には、入口の親しみやすさに加えて、その後に何が起きるかも大切なのです。
この二つは、ゆめみ保健室の利用率や名称の効果を調べた解説ではありません。設立者が名前に込めた意図と、相談を支える一般的な条件を分けて読むと、この事例から自社へ持ち帰る問いが見えてきます。

まとめ:名前と、話した後の安心を一緒に伝える
「保健室」と聞くと、けがや体調不良を思い浮かべるかもしれません。ゆめみの事例では、その身近な名前の先に、仕事やキャリアについても話せる役割がありました。関屋さんが注目したのは、会社の中にその機能があることです。
窓口を設けた側は、扱う相談の範囲を知っています。一方、利用する側には「こんなことを聞いてもよいのだろうか」が残ります。社内の案内を読む人の立場で、扱う相談の例、担当者の役割、話した内容の共有範囲を確かめてみる。たとえば上司へ内容が伝わるのかが分からなければ、親しみやすい名前でもためらいは残るでしょう。名称を変える検討と、支援の実態を説明する仕事は、分けて進めたいところです。
──関屋さん、本日もありがとうございました!
社内制度や相談窓口の意図が社員に伝わっているかを見直したいときは、インナーコミュニケーションについてブログルへご相談ください。
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