【Case46:ドイツパビリオンの場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

PROFILE
関屋 裕希Yuki Sekiya
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
今回は、2025年大阪・関西万博のドイツパビリオンで使われた音声ガイド「サーキュラー」に注目します。触って楽しいことと、展示の内容が伝わること。その二つを分けて見ると、体験イベントで最初に用意するものも変わってきます。

ドイツパビリオンの公式紹介では、楽しみながら学べる展示を目指し、日本の「カワイイ文化」にヒントを得てサーキュラーを考案したと説明しています。来場者に展示内容を伝える、会場のガイド役でもありました。
丸いキャラクターを手に持ち、展示に近づけて話を聞く。説明を読む前から、すでに展示とのやりとりが始まっています。関屋さんが気になったのも、音声ガイドそのものを楽しめるところでした。
※2025年6月の対談から、発言の趣旨を保って抜粋・整理しています。万博会期中の事例であり、現在の来場案内ではありません。
音声ガイドに、触る楽しさがある
関屋:手のひらサイズの、お化けみたいなキャラクターなんです。それが音声ガイドになっていて、頭を展示に近づけると、ガイドが流れて聞けるんです。
音声ガイド自体がかわいいのと、近づけると光るんですよね。青になったり、ピンクになったり。
──アクションがあるんですね。
関屋:そうそう。音声ガイド同士の頭を近づけると、音楽が流れたりもするんです。
ガイドとして楽しいのか、おもちゃとして楽しいのか
関屋:美術館などの音声ガイドは、子どもには使いにくい設計もありますよね。これは子どもでも楽しめる音声ガイドというか。
音声ガイドとして楽しんでいるのか、おもちゃとして楽しんでいるのかは、また別ですけどね。
──なるほど。面白いですね。これは持って帰れるんですか。
関屋:回収でした。
まとめ:触る楽しさの先に、何が伝わるか
関屋さんが区別していた「ガイドとして」と「おもちゃとして」が、この事例を考える手がかりになりました。楽しそうに触っていることと、展示の内容を理解していることは同じではありません。それでも、触りたくなるものがあるからこそ、説明へ近づける人もいるはずです。
展示会や体験イベントで難しい内容を伝えるとき、説明文を短くするほかにも、最初に何を手に取り、どんな反応が返るかを考える余地があります。その楽しさが、伝えたい内容へつながっているか。サーキュラーは、説明の入口を見直したくなる事例でした。
──関屋さん、本日もありがとうございました!
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