【Case14:サントリーの場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜

マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。

関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com

サントリー食品インターナショナルは、“人に言いづらい若者の悩みを、心と体の両面からサポートする”ことをコンセプトとした「menphysプロジェクト」を始動しています。その一環として、心身の不調や悩みに気づき、セルフケアを始めるきっかけをつくることを目的としたポップアップカフェ「~悩みごとから注文するカフェ~ CAFÉ menphys」を下北沢にあるレストラン「PIZZERIA8」内に期間限定でオープンしていました。

「menphysプロジェクト」は、“自分を理解・尊重し、心地よく自分らしくありたい”という若者の思いに寄り添い、若者が抱える人に言いづらい心身の不調や悩みに対して、身近な存在である飲料(第1弾の商品は、「イライラ期を明るく前向きに変えるドリンク」と「男性の自信を取り戻すドリンク」)やコミュニケーションを通じて心と体を整える後押しをする取り組みです。

※「menphys」(メンフィス)とは、「Mental(心)」と「Physical(体)」を組み合わせた造語です。

オーダーの際にメニューから料理を選ぶのではなく、オリジナルのカルテシートから自身の不調や悩みを選ぶこと。カルテシートに記載された6つの不調のうち、該当するもの、または気になるものに2つチェックすると、選んだ不調の緩和に役立つとされる栄養成分を摂取できる食材を使ったオリジナルオープンサンドが提供されます。

〈カルテシート チェック項目〉
・MOOD:女性特有のこころとからだの不調
(イライラする、落ち込む、傷つきやすくなる等)
・WEATHER:気象の変化によって起こる不調
(頭痛、眠気、肩こりや腰痛、気分の落ち込み等)
・HAIR:髪の悩み
(髪の毛が細くなる、抜けやすくなる、ボリュームダウン等)
・POWER:男性特有の悩み
(大事な時に力が発揮できない等)
・SKIN:肌の悩み
(乾燥、赤み、かゆみ、くすみ、毛穴の開き、吹き出物等)
・SLEEP:睡眠にまつわる悩み
(寝付けない、眠りが浅い、寝たくない時に寝てしまう等)

ー自分の悩みを人に言うのはハードルが高く、相談されたときにカウンセリングに行くことを提案しても、「カウンセリング行くほどでもないし」と答える方が多くいらっしゃいます。
今回のイベントは、選択式になっていて、悩みや不安を表出すハードルを低くしていると思います。

記述式だと何を書けばいいかも難しいですよね。

ー悩みを打ち明けてだれかに相談するんではなく悩みに合わせて食事を提供するというのも気軽ですよね。そこまでの相談をしたいわけではないけど悩みの解消にどんなオープンサンドが出てくるのかというドキドキ感にもつながりますよね!

確かにそのオープンサンドの中身の食材が自分の悩みの解消になるという気づきも持つことができますし!

ーオープンサンドのいいところは何が入っているかわかりやすいところです。
友達と一緒に行って、見比べることもできます。
あとは、選択する中で、自分の状態をセルフチェックをすることができる仕組みになっているのも面白いです。
「食事のメニューを選ぶ」という日常動作の中でできるので、必要以上に身構えたり、侵襲的でもなく、ライトに自分の状態を振り返ることができるのもいいですね。
セルフケアのとっかかりは今自分がどんな状況にあるかに気づくというのがスタートなので。

片頭痛やPMSなど世の中に浸透して相談しやすい環境になってきていますが、なかなかそれで病院に相談をしに行く程でも・・・となって行けない人もいまだに多い気がします。

悩んでいるけれども、人に相談するほどでもない、大事(おおごと)にはしたくないなどの悩みをうまく引き出していて、セルフケアへの心理的障壁を低くする仕組みが含まれていました!

参加障壁が高い施策や企画を運用するにあたり、少しでも参加人数を増やす、参加しやすい、歩留まりをあげる為には?そのヒントになる取り組みでした。

今後のマーケティングに活かしていきたいと思います!

関屋さん、本日もありがとうございました!


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