上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編- Vol.2

Vol.2 基本を知る ~ブランディングの基本~

上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編-では、弊社顧問である上條憲二先生に、ブランディングにまつわる知識や事例をお話しいただきます。

【上條先生について】

長野県松本市出身
株式会社ブログル 顧問
日本ブランド経営学会 会長 / 日本マーケティング学会 評議員

早稲田大学文学部社会学専攻卒業。第一広告社(現I&SBBDO)入社。
以来、マーケティングプランナー、SPプランナー、アカウントエグゼクティブとして様々な企業の広告コミュニケーション戦略の立案、ディレクションを担当。広告主は、航空会社、日本車、輸入車、トイレタリー、人材派遣会社、製薬会社、百貨店、ファーストフードなど多岐にわたる。後に、同社の執行役員として営業全般の統括的な役割および同社のマーケティング部門の責任者を兼任。
2004年から10年にわたりインターブランド(ブランド価値評価で有名な世界一のブランドコンサルティングファーム)のエグゼクティブディレクターとして企業のブランド戦略を推進。クライアントとしては、住宅、住宅機器、航空、輸入車、国産車、旅行、ケーブルテレビ、テレビ局、鉄道、高速道路、大学、建設、玩具、医療、スポーツ用品、などこれも多岐にわたる。
ブランディングに関する代表著書に「超実践! ブランドマネジメント入門  愛される会社・サービスをつくる10のステップ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」等。
blogleの企業理念である「コミュニケーションを通じて、関わる人々へ 勇気づけ(encouragement) を行う」為に必要な活動として、世界一のブランドコンサルティングファームで培った知見を活かしたブランディングメソッド構築の指南を行なっている。

まずは、ブランディングの基本を理解しましょう、ということで以下、上條先生からのお話をお届けいたします。

ブランディングと一言に言っても、要素は理念やパーパス、ステートメント、メッセージ、トンマナなどさまざまあります。それぞれ、企業によって注力するところとそうでないところに差があります。また、内部に向けてのブランディングや外部に向けてのブランディング、ベクトルもさまざまです。
誰のためにどのようにブランディングを進めていくか、そのためにまずは大事な”企業の「らしさ」”について、事例とともにお話しします。

<東急の事例>

まず問いかけたのは、”東急とはなんだろう?”ということ。街づくりを得意とした会社であったので、街づくりをベースに考えを展開していきました。今や、電車の会社としてだけではなく、街づくりから派生し、さまざまな分野で一線を走る企業として印象付けられています。

強いブランドは約束と期待が一致しています。企業側の意図を”コンセプト”や”理念”というが、それが社員に伝わり、各所が連動していき、形となり、お客様にどういう会社かが根付いていきます。そこで重要なのが、”一貫している”ということです。

ブランディングが弱い企業によくあるのが”約束が曖昧である”こと。そうすると、社員の人たちも自分たちの世界だけでものづくりを行ってしまい、お客様が欲しいものでないことや認識も根付かないことが往々にして発生します。

「らしさ」が強固であると、いろいろなところが「らしさ」に基づいて広がっていく。

<BMWの事例>

“駆けぬける歓び”を核としてブランディングを広げていきました。自分たちのブランドの世界観をしっかりと決めて、各所に適用していきました。

見られ方を統一するために、シンボルやタイポグラフィー、色や言葉など細部にルールを定めて”一貫性”を生み出せるようにしました。

<appleの事例>

Appleにとって、パソコンやスマホを作ること、処理速度や性能を語ることが全てではありません。NIKEが”靴がすごいぞ”ということを売り出すのではなく、アスリートを讃え、スポーツの素晴らしさを讃えるという情緒的な価値を重要とし、印象付けました。

このように、人々が仕事をこなす箱を作ることがappleの仕事ではなく、世界をより良くするために情熱を燃やす人の応援をしようという考えを人々に伝えていくことになりました。

良いものを作ってたくさん売れば、事業は成功すると考えていた日本人には衝撃的な出来事でした。

ここからわかることは、あなたたちは何のために存在するのか?という問いに的確に答えられる、コンセプトが必要であるということです。欧米にはそういった根本的なポリシーがしっかりと根付いている企業が多いです。無難なふんわりとしたコンセプトでは、ブランディングは成立しにくいです。そういった無難な表現をなるべく使わないようにして、いかに表現できるかが重要になります。

<ブランド体系>

また、ブランドたらしめるための体系や構造は一つではなく、いくつかのパターンがあります。主な3つのブランド体系を紹介します。それぞれコーポレートブランド(家風)をどれだけ意識させるか、にグラデーションがあります。

●マスターブランド体系

コーポレートブランドがすべて。家風が大事で子ブランドはそれに従う。

●エンドースドブランド体系

コーポレートブランドを意識させながら個別のブランドも頑張る。

●フリースタンディングブランド体系

コーポレートブランドは意識させずに、個別ブランドが独立。子ブランドはそれぞれ活動。

share

  • facebookでシェア
  • Twitterでシェア