上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編- Vol.4
Vol.4 機運をつくる
上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編-では、弊社顧問である上條憲二先生に、ブランディングにまつわる知識や事例をお話しいただきます。
Vol.4では企業がどのようにブランディングの機運つくり実行移していくのかについてお話していきます。
【上條先生について】
長野県松本市出身
株式会社ブログル 顧問
日本ブランド経営学会 会長 / 日本マーケティング学会 評議員
早稲田大学文学部社会学専攻卒業。第一広告社(現I&SBBDO)入社。
以来、マーケティングプランナー、SPプランナー、アカウントエグゼクティブとして様々な企業の広告コミュニケーション戦略の立案、ディレクションを担当。広告主は、航空会社、日本車、輸入車、トイレタリー、人材派遣会社、製薬会社、百貨店、ファーストフードなど多岐にわたる。後に、同社の執行役員として営業全般の統括的な役割および同社のマーケティング部門の責任者を兼任。
2004年から10年にわたりインターブランド(ブランド価値評価で有名な世界一のブランドコンサルティングファーム)のエグゼクティブディレクターとして企業のブランド戦略を推進。クライアントとしては、住宅、住宅機器、航空、輸入車、国産車、旅行、ケーブルテレビ、テレビ局、鉄道、高速道路、大学、建設、玩具、医療、スポーツ用品、などこれも多岐にわたる。
ブランディングに関する代表著書に「超実践! ブランドマネジメント入門 愛される会社・サービスをつくる10のステップ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」等。
blogleの企業理念である「コミュニケーションを通じて、関わる人々へ 勇気づけ(encouragement) を行う」為に必要な活動として、世界一のブランドコンサルティングファームで培った知見を活かしたブランディングメソッド構築の指南を行なっている。
改めてブランドマネジメントに必要な10のステップとステップごとのwhy・howについて振り返ります。
まずはブランドマネジメントとは、
「ブランド」をマネジメントするのではなく、
「ブランド」でマネジメントする。
ことです。
強いブランドは「約束」と「期待」が一致しており、企業のお客さまに対する「約束」が社員を通じて、ブランドのタッチポイントに反映され、お客さまに届いています。
逆に弱いブランドは、
企業の約束がお客さまに正しく伝わっていないことが多いです。
これでは、強いブランドは築けずせっかく活動しても部分最適ではコストが無駄になってしまいます。
このように、顧客が求める期待を把握し、企業の約束を一致させることでブランドのタッチポイントも統一され強いブランドとなっていきます。
本題の「機運をつくる」ためには以下5つのことをおこなっていかなければなりません。
①「最初のひとり」として「あるべき姿」を想像する
②組織を耕す
③ブランディングの「種」を蒔く
④せっかくのブランディングの「苗」を枯れさせない
⑤ブランディングの「苗」をじっくり育てる
以下のようなことを意識して進めていくことが大切です。
①「最初のひとり」として「あるべき姿」を想像する
■自分たちのブランディングを想像する
■「あるべき姿」「ありたい姿」をイメージする
■「あんなブランドになりたい」「こんな評判を得たい」とイメージする
②組織を耕す
■猪突猛進では誰もついてこない
■ブランディングはみんなで進めるもの
■まず「ブランディング」を受け容れる土壌をつくる
■「最初のひとり」としての意見に興味をもってもらい賛同してもらう
③ブランディングの「種」を蒔く
■社内にブランディングの話題を提供する
■社内で「最近、ブランディングって話をよく聞く」と言われるようにする
■社内で「ブランディングプロモーション活動」を始める
④せっかくのブランディングの「苗」を枯れさせない
■外部の専門会社に「丸投げ」しない
■機が熟していないのに外部の専門会社の「定型的な処方箋」を
施しても立ち枯れする恐れ
■外部のサポートを受ける場合でも、
自分たちであるていど方向を定めてから
⑤ブランディングの「苗」をじっくり育てる
■丁寧な説明
■決して「結論ありき」ではない
■理解、共感を得ながら
■中長期的な「シナリオ」をつくる
ブランディングを進めていくにあたり、
インナー向けスタートアッププロモーションに力を入れることも大切です。
例)企画書の自主提案、朝礼/部内ミーティングでの発信、社内報/インフラネット/社内限定動画(YouTubeなど)、勉強会/説明会、外部向けのセミナー など
また簡易調査などを行い、自身と自身の周囲とのギャップを認識することも大切です。
ギャップを明示すると「なんとかしよう」という気分になります。
「現在の姿」から「あるべき姿」のイメージ形成にもつながります。
従業員はどのようなあるべき姿を望んでいるのか確認するきっかけにしましょう。
あるべき姿をイメージし、そのイメージに賛同する仲間を作り、組織に対してインナープロモーションを行いブランディングの話題提供、そこからしっかりと自分たちで育てていくことが大切です。
ブランディングを進める際、外部コンサルタントなど外に対して支援を頼むことが多いかと思います。
それでもすべてを丸投げせずしっかりと自分事でブランディングを進めることで「苗」をじっくりと育てることができていきます。
とはいえ、ブランディングを進めるのは難しいです。まずは専門家に相談してすすめてみましょう。
Vol.5につづく。