【Case8:ホワイトフライデーの場合】マケシリ〜マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう〜
マケシリでは、最近ちょっと気になったマーケティング事例を独断と偏見でピックアップ!
弊社顧問で心理学博士の関屋 裕希さんになぜ気になっちゃうのかを心理学の観点から紐解いていただきます。
ここ数年で盛り上がりを見せるようになったブラックフライデー。ブラックフライデーがポピュラーになってきたからこそ、その期間を盛り上げるためのアプローチも様々になってきています。
第8回はそのうちの一つとして、FABRIC TOKYOの「WHITE FRAYDAY2023」の取り組みをご紹介します。
関屋 裕希 Yuki Sekiya
1985年1月31日生まれ/福岡県福岡市出身
せきや・ゆき/臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。専門は職場のメンタルヘルス。業種や企業規模を問わず、メンタルヘルス対策・制度の設計、組織開発・組織活性化ワークショップ、経営層、管理職、従業員、それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演を行う。近年は、心理学の知見を活かして理念浸透や組織変革のためのインナー・コミュニケーションデザインや制度設計にも携わる。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。
ホームページ:https://www.sekiyayuki.com
そもそも”ブラックフライデー”とはどういう由来や意味を持っているのか、少し調べてみました。
アメリカでは11月の最終木曜日に感謝祭を行う文化があり、この日は家族みんなで揃って食事をする、日本で言うお盆やお正月のようなもの。その翌日の金曜日がブラックフライデーに該当します。この日に小売店や街の交通整備を行う警察官がお祭り気分のお客様の対応で特に忙しくなるため、皮肉を込めて”ブラックフライデー”と呼ばれるようになったそうです。収支が黒字になるという意など、諸説もあるようです。
関屋さんはブラックフライデー、ご活用なさっていますか?!
ー私は、おむつを箱買いしています(笑)。食用油とか、ゴミ袋とか日用品が多いかもしれないですね。
私は、いますぐ必要というほどのものでもないけど「◯日まで!」というCMを見て、慌ててお買い物をしてしまうことがありました。。
ーそういう方は多いと思います。ただ、安いからといって買った買い物は後悔が多いので気をつけてくださいね!この時、みなさんには”損をしたくない!”という心理が働いています。今買っておかないと損をすることになるのではないか、と感じられてしまうため、その損をしないために買っていることになります。
そうですね、後々買っておけばよかった!と思わないために買っています。限定的な期間で畳み掛けられているような感覚。。
ー”今しかこの値段で買えない”という希少性を感じさせて購入に繋げています。これはブラックフライデーで言う限定的な期間であることもそうですし、”ここでしか買えない”という場所の限定や”数量限定”なども該当し、日頃から購買行動において大きくみなさんに影響を与えている要素だと思います。
“ブラックフライデー”というワードを今までよりよく聞くようになったから、みんなもこの期間に賢く買い物をしているのかも?!と雰囲気に飲み込まれているような感覚もあります。
ーはい、それも大きな要因だと思います。
セール期間中はセールを盛り上げるための楽しそうな、お得そうな情報が各所から入ってきます。こうした情報をたくさん目にしていると、だんだん気持ちが高揚してきて、判断力が鈍ります。
普通の状態だったら、もう少し慎重に考えられることも、普段とは違った情報が各所からたくさん入ってきて冷静な判断ができなくなるのです。
こうして一度に考えたり、処理したりするために使うことのできるリソースのことを”認知資源”と言います。人は一度に処理できる情報には限界があるため、セール期間中はその情報がいつもより多く、普段であればしないような判断をしてしまうことが多くあります。
なるほど、私はまさにその状態だったように思います。。
すっかり”ブラックフライデー”の話で盛り上がってしまいましたが、今回の”ホワイトフライデー”についてはどのように感じましたか?
ーこの時期に”ブラック”と”ホワイト”をかけている点など、タイトルやメッセージが面白いと感じました。ファッション業界はたびたび大量消費や大量廃棄が取り沙汰されていますが、こうして発想を転換させたメッセージでみなさんの意識が少しでも変われば良いですね。
そうですね!私もお買い物をする時には一度冷静になって判断できるように、心がけるようにします!関屋さん、本日もありがとうございました。