上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編- Vol.5
Vol.5 ブランドの価値について①
上條先生に聞きたい! Branding Talk-入門編-では、弊社顧問である上條憲二先生に、ブランディングにまつわる知識や事例をお話しいただきます。
【上條先生について】
長野県松本市出身
株式会社ブログル 顧問
日本ブランド経営学会 会長 / 日本マーケティング学会 評議員
早稲田大学文学部社会学専攻卒業。第一広告社(現I&SBBDO)入社。
以来、マーケティングプランナー、SPプランナー、アカウントエグゼクティブとして様々な企業の広告コミュニケーション戦略の立案、ディレクションを担当。広告主は、航空会社、日本車、輸入車、トイレタリー、人材派遣会社、製薬会社、百貨店、ファーストフードなど多岐にわたる。後に、同社の執行役員として営業全般の統括的な役割および同社のマーケティング部門の責任者を兼任。
2004年から10年にわたりインターブランド(ブランド価値評価で有名な世界一のブランドコンサルティングファーム)のエグゼクティブディレクターとして企業のブランド戦略を推進。クライアントとしては、住宅、住宅機器、航空、輸入車、国産車、旅行、ケーブルテレビ、テレビ局、鉄道、高速道路、大学、建設、玩具、医療、スポーツ用品、などこれも多岐にわたる。
ブランディングに関する代表著書に「超実践! ブランドマネジメント入門 愛される会社・サービスをつくる10のステップ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」等。
blogleの企業理念である「コミュニケーションを通じて、関わる人々へ 勇気づけ(encouragement) を行う」為に必要な活動として、世界一のブランドコンサルティングファームで培った知見を活かしたブランディングメソッド構築の指南を行なっている。
まずブランドの価値を上げるにはどのような要素が必要だと思いますか?
ぱっと思いつくのは「認知の拡大」だと思います。
しかし、ブランドの価値を高めるには、「認知」を上げれば良いわけではないです。
よくあるやり取りとして以下のようなやり取りがありますがこれだけではブランド価値を高めるには要素が不足してしまいます。
クライアント 「何とか、ブランドの価値を高めたいのですが…」
よくある回答 「やはり、認知が足りないんじゃないですか。
競合は広告キャンペーンで有名なタレントを起用していますし、
CMのGRP(延べ視聴率)もかなり稼いでいます。そもそも認知がないと
何も始まりませんよ」
クライアント 「そうですね…、そうしましょうか。知られていないと話になりませんね…」
ところでブランドの価値ってなんだと思いますか?
⇒ブランドは無形価値の重要な源泉であり識別可能な資産です。
また、現在ブランド価値をはかる指標として、インターブランドのベストブランドランキングがあります。
世界のCEOが注目する最も重要なランキングの一つと言われています。
多くの企業がこのブランドランキングにランクインすることを目標として掲げています。
国内大手企業においても、IRにてブランドランキングを活用している例もございます。
たとえばコカ・コーラの場合、おなじみのネーミング~~歴史、ロゴなどをすべて取り除いたとき(つまり「コカ・コーラらしさを除いたとき」)、果たしてそれはどれだけ売れるでしょうか。おそらく、ほとんど売れないでしょう。
私たちは「コカ・コーラらしさ」という「目に見えない価値」を買っているわけです。
そもそも、ブランド価値を調べるということは、ある会社の買収から始まりました。
イギリスのある会社が、買収されることになった。
その会社は、消費財を製造販売していた。
買収額を見て、経営者は驚いた。あまりにも少なすぎる。
でも、評価をした専門家は、
・工場がこの金額
・機会設備がこの金額
・社員の人件費がこれだけ、
ーほら、何も問題ないでしょ。
しかし、経営者は、うちの会社には
・歴史も
・お客さまからの評判も
・みんなが知っているというということ
つまり、目に見えない何かがあるはずだ。
それも金額に換算すべきではないか、ということで、
「じゃあ、目に見えなものを目に見えるようにしよう」
ということで、インターブランドに依頼した。
そこから、ブランド価値評価が始まった。
(財務とマーケティングの観点から分析)
ここまでブランド価値とは?ブランド価値の評価の成り立ちについてお話しました。
ブランド価値とは企業の無形資産であり象徴となるものです。
改めてブランド価値について学びました。
次回、ブランド価値をどのように求めていくのか概念的に紐解いていきたいと思います。
Vol.5 ②につづく。