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行動心理で読み解くマーケティング事例集|マケシリ全39回まとめ【心理学博士監修】

行動心理で読み解くマーケティング事例集|マケシリ全39回まとめ【心理学博士監修】

「なぜ、人はそれを買ってしまうのか」を、事例から解き明かす

この記事は、実在するマーケティング施策39本を「そこで働いた心理効果」ごとに整理した事例集です。 販促や広告、体験イベントの企画を考えるとき、成功事例の裏にある「人が動いた理由」を心理学の言葉で理解し、自社の施策設計に応用するための入り口になります。

私たちblogle(ブログル)は、マーケティングコミュニケーションと経営コンサルティングを手がける会社です。2005年の創業以来、一貫して大切にしてきたのが「人は理屈だけでは動かない」という前提でした。そこで2023年から、臨床心理士で博士(心理学)でもある弊社顧問・関屋 裕希の監修のもと、気になったマーケティング事例を心理学の観点から読み解く連載「マケシリ(マーケティング事例に隠された心理効果を知ろう)」を続けてきました。その全39回を、一覧できるかたちでまとめたのがこの記事です。

一つひとつの事例は、「なんとなく上手い広告」で終わりません。そこには社会的証明、認知的不協和、希少性、フロー体験といった、再現可能な心理のメカニズムが働いています。感覚を、根拠に変える。 それが、事例を「眺めるもの」から「使えるもの」に変える第一歩になります。

監修:関屋 裕希(せきや・ゆき)/臨床心理士・公認心理師・博士(心理学)。専門は職場のメンタルヘルス。blogle顧問として、マケシリ全回の心理学的解説を担当。

行動心理学とは(マーケティングとの関係)

行動心理学とは、人が必ずしも合理的には判断せず、感情や状況、認知のクセ(バイアス)に影響されて意思決定することを前提に、その規則性を解き明かす学問です。 近い領域に、同じ現象を経済学の立場から扱う行動経済学があります。「人は思っている以上に非合理に動く」という現実から出発する点は共通しています。

マーケティングにおいてこれが重要なのは、購買という行動が、価格や機能の比較だけでは決まらないからです。「みんなが買っているから安心する」「今しか買えないと焦る」「途中で気になって最後まで確かめたくなる」——こうした心の動きを設計に織り込めるかどうかが、施策の成否を分けます。以下では、マケシリ39事例を代表的な心理効果ごとに整理します。

マーケティングに心理学は使えるのか?

使えます。 購買や来店といった行動の多くは無意識の心理に左右されるため、社会的証明・希少性・損失回避などの心理効果を理解して設計に組み込むと、同じ商品でも「伝わり方」と「動いてもらえる確率」が変わります。この記事の39事例は、その具体例です。

心理効果カテゴリ別・マケシリ事例

各カテゴリには、本文で心理効果が明確に解説されている事例を束ねています。ブランド名のリンクから、関屋による詳しい解説記事へ進めます。

1. 社会的証明・同調心理 —「みんなが」で人は動く

社会的証明とは、自分の判断に確信が持てないとき、多くの人の行動を「正しい選択」の手がかりにする心理です。 SNS時代には「取り残されたくない」という感情としてより強く働きます。

  • [Case39 ミスタードーナツ](もっちゅりん再販)— インフルエンサーが一斉に取り上げることで「流行っているもの」として認識され、「知らないままでいたくない」という同調心理が購買を後押しした事例。関屋は「食べたい」より「取り残されたくない」気持ちの方が強く働くと解説しています。

2. 希少性・損失回避 —「今しかない」が背中を押す

希少性とは、手に入りにくいものほど価値が高いと感じる心理で、損失回避(得より損を大きく感じる傾向)と結びついて購買を強く促します。

  • [Case8 ホワイトフライデー](FABRIC TOKYO)— 期間・場所・数量の限定が「今買わないと損をする」という損失回避を刺激する構造を、関屋が「認知資源(判断に使える脳のエネルギー)」の枯渇とあわせて解説。セール中は情報過多で冷静な判断が難しくなる仕組みを扱っています。
  • [Case27 たこ焼き菜々](トレーディングカード)— 「限定・レア・集めたい」というコレクション欲とノスタルジーを刺激し、値上げの代わりに「楽しさで価値を上げた」ローカル店舗の事例。

3. 認知的不協和・ギャップ —「なんだこれ?」が記憶に残る

認知的不協和とは、自分の予想や信念と現実がズレたときに生じる不快感で、人はそれを解消しようとして行動(調べる・買う)を起こします。

  • [Case9 長倉製作所]— 「何の会社かわからない」自虐的な動画があえて認知的不協和を生み、視聴者を「結局何なの?」と調べさせるプロモーション。あわせて「エスカレーター効果(思い込みが覆されたときの違和感で印象づける効果)」も解説。
  • [Case23 ファインティ]— サービス内容をほぼ明かさないCMで「調べたくなる感覚」を引き出した事例。関屋は認知的不協和とパーパスブランディングの両面から読み解いています。
  • [Case21 アース製薬](不快なイルミネーション)— 「かわいい」と思わせてから「実はダニ」と明かすギャップで、認知的不協和により強烈に記憶に残す体験型施策。
  • [Case15 アシックス](The Desk Break)— メンタルヘルスの動画らしくない強い口調と演出の意外性で最後まで見せる、エスカレーター効果の事例。

4. ウィンザー効果・第三者性 —「他人の声」は信じられる

ウィンザー効果とは、当事者本人よりも利害関係のない第三者から発信された情報のほうが信頼されやすい心理効果です。

  • [Case16 メディアアクティブ](鬼から電話×スキマモリ)— 親が直接言うより第三者キャラクターから言われるほうが子どもが受け入れる構造を、ウィンザー効果とハロー効果の違いとともに解説。

5. 好奇心・未完了(ツァイガルニク/カリギュラ) —「続きが気になる」

ツァイガルニク効果とは、達成した事柄より、途中で中断された未完了の事柄のほうが記憶に残りやすい心理現象です。 これに「禁止されるほどやりたくなる」カリギュラ効果が加わると、関与はさらに強まります。

  • [Case17 花王](バブ 帰宅後即フロ)— 「剥がすと全景が見える」体験型広告が、隠れた部分を見たくなるツァイガルニク効果と、禁止行為をやりたくなるカリギュラ効果の両方を活用。
  • [Case2 ダウニー](スーパーボウルティザー広告)— 12週間後まで正体を明かさないティザーで、視聴者に自発的に検索・予想させ、商品への関与(コミットメント)を高めた事例。

6. フロー・報酬系 —「夢中」が生まれる仕組み

フローとは、心理学者チクセントミハイが提唱した、ちょうどよい難度の課題に没頭して時間を忘れる集中状態です。

  • [Case19 るるぶ](ミステリーるるぶ)— 謎解きが解けた瞬間のドーパミン(報酬系)、フロー体験、自己肯定感、「安全なスリル」など複数の心理効果が組み込まれた事例を関屋が整理。

7. 選択のパラドックス —「選ばせない」やさしさ

選択のパラドックスとは、選択肢が多すぎるとかえって決められず、満足度も下がる現象です。

  • [Case29 ジャパネットたかた]— ECの無限の選択肢に対し「これ!」と絞ってくれる“選ばなくていい設計”が、迷いによる疲れを減らして購買につながる構造を解説。
  • [Case14 サントリー](CAFÉ menphys)— 悩みを記述式でなく選択式でチェックさせることで、表出の心理的ハードルを下げた事例。

8. 感情ヒューリスティック —「気持ち」で選ばれる

感情ヒューリスティックとは、論理的な比較よりも、その時の感情を手がかりに素早く判断してしまう傾向です。 人は感情が動くと行動に移しやすくなります。

  • [Case18 PLAZA](HEARTS UP! GIFT)— 「誰に渡すか(属性)」でなく「どんな気持ちにさせたいか(感情)」でギフトを選ばせ、擬音語・擬態語で感情を喚起した事例。
  • [Case11 太陽工業×メトロアドエージェンシー]— 広告に触れるときの感情状態(階段の昇り降りで変わる感覚)が広告効果を左右することを、産学連携研究とともに解説。
  • [Case12 OfferBox](口角が上がる広告)— 「泣くから悲しい」という表情フィードバック仮説(ジェームズ=ランゲ説/キャノン=バード説)を用い、口角が上がる言葉で就活生を前向きにする事例。

9. 共感・自己開示・感情の受容 —「わかってもらえた」が動かす

共感による訴求とは、恐怖やリスクで注意を引くのではなく、相手の感情を代弁し受け止めることで、前向きな行動を引き出すアプローチです。

  • [Case20 ペアーズ](恋ってときどき面倒だよねギャラリー)— 恋愛のネガティブな本音を代弁し「わかってもらえた」共感と、書き出しによる感情のデトックスが、次の一歩を後押しした事例。
  • [Case28 森永乳業×クラダシ](あなたの思い出が広告に)— 従来の「恐怖訴求」から、「思い出を守る」というポジティブ訴求・共感訴求へ転換した好例。
  • [Case31 令和におけるバレンタイン]— 「推しチョコ」を自己開示の一種と捉え、義務でなく関係性づくりの機会(ジョブクラフティング)へ意味づけを変える視点を提示。

10. 吊り橋効果 —「ドキドキ」を好意と取り違える

吊り橋効果とは、運動や興奮による生理的なドキドキを、目の前の相手への好意だと錯覚してしまう心理現象です。

  • [Case38 みろくの里](みろくコンパ)— 観覧車や絶叫系アトラクションのドキドキを相手への好意と錯覚しやすい吊り橋効果を活かし、「自分から動かなくても交流が生まれる」出会いの場を設計した事例。

そのほかの注目事例(体験設計・ブランディングの実例)

心理効果名は明示していないものの、行動心理学の視点で読み解ける施策がそろっています。

  • [Case1 KINCHO サッサ](自虐広告と、その落とし穴)
  • [Case3 Divano Wine Store](「詳しくない」を肯定してハードルを下げる)
  • [Case4 米マクドナルドのCM](味覚でなく痛覚が生む検証欲求)
  • [Case5 米NPO啓蒙動画](思い込みを覆して自分ごと化させる)
  • [Case6 丁寧な暮らし調査結果](背伸びより自然体への共感)
  • [Case7 FAN-JUMP!バスケットボール教室](内発的動機づけ/外発的動機づけ)
  • [Case10 推し活×バレンタイン](バレンタインの再定義)
  • [Case13 With](価値観マッチングとウェルビーイング)
  • [Case22 オーラツー](脅しでなくインセンティブ型・ゲーミフィケーション)
  • [Case24 牛乳石鹸共進社](体験型ブランディングと一貫性の強み)
  • [Case25 三菱電機](自分と近い登場人物への感情移入・信頼)
  • [Case26 印象に残る順番の魔法](初頭効果/新近効果)
  • [Case30 MEETSHOP](聖地巡礼を「心の健康」に変換)
  • [Case32 オーディ・ヘルシンキ中央図書館](第三の居場所という空間設計)
  • [Case33 ごえんさんエキスポ 恋バナ縁日](第三者に話せる安心感)
  • [Case34 フリュー](流行の20年周期回帰と世代で変わる意味)
  • [Case35 VIS](「何もしない時間」の価値提示)
  • [Case36 超早期退職について](採用ミスマッチと前提のズレ)
  • [Case37 ウッドデザインパーク](タイミング設計とウェルビーイング)

マケシリ全39回 一覧

Case ブランド・テーマ 主な心理効果(確定分) 記事
1 KINCHO サッサ 自虐広告 記事を読む
2 ダウニー コミットメント/好奇心 記事を読む
3 Divano Wine Store コンプレックス低減 記事を読む
4 米マクドナルドのCM 検証欲求(辛さ=痛覚) 記事を読む
5 米NPO啓蒙動画 思い込みの打破・自分ごと化 記事を読む
6 丁寧な暮らし調査結果 共感・自然体 記事を読む
7 FAN-JUMP!バスケットボール教室 内発的/外発的動機づけ 記事を読む
8 ホワイトフライデー 損失回避/希少性/認知資源 記事を読む
9 長倉製作所 認知的不協和/エスカレーター効果 記事を読む
10 推し活×バレンタイン バレンタインの再定義 記事を読む
11 太陽工業×メトロアドエージェンシー 感情状態と広告効果 記事を読む
12 OfferBox 表情フィードバック仮説 記事を読む
13 With ウェルビーイング/価値観マッチング 記事を読む
14 サントリー(menphys) 選択式による障壁低減 記事を読む
15 アシックス エスカレーター効果 記事を読む
16 メディアアクティブ ウィンザー効果/ハロー効果 記事を読む
17 花王(バブ) ツァイガルニク効果/カリギュラ効果 記事を読む
18 PLAZA 感情ヒューリスティック 記事を読む
19 るるぶ フロー/報酬系/自己肯定感 記事を読む
20 ペアーズ 共感/感情のデトックス 記事を読む
21 アース製薬 認知的不協和 記事を読む
22 オーラツー 認知資源/インセンティブ型 記事を読む
23 ファインディ 認知的不協和/パーパスブランディング 記事を読む
24 牛乳石鹸共進社 体験型ブランディング/一貫性 記事を読む
25 三菱電機 感情移入・共感・信頼 記事を読む
26 印象に残る順番の魔法 初頭効果/新近効果 記事を読む
27 たこ焼き菜々 コレクション欲/ノスタルジー 記事を読む
28 森永乳業×クラダシ 恐怖訴求→共感訴求 記事を読む
29 ジャパネットたかた 選択回避/選択のパラドックス 記事を読む
30 MEETSHOP 聖地巡礼/体験で巻き込む 記事を読む
31 令和におけるバレンタイン 自己開示/ジョブクラフティング 記事を読む
32 オーディ・ヘルシンキ中央図書館 第三の居場所(空間設計) 記事を読む
33 ごえんさんエキスポ 恋バナ縁日 第三者性/体験による行動喚起 記事を読む
34 フリュー(プリ展) 流行の周期回帰/世代差 記事を読む
35 VIS 余白の価値 記事を読む
36 超早期退職について 採用ミスマッチ/前提のズレ 記事を読む
37 ウッドデザインパーク タイミング設計/ウェルビーイング 記事を読む
38 みろくの里 吊り橋効果 記事を読む
39 ミスタードーナツ 同調心理/取り残されたくない 記事を読む

行動心理学をマーケティングに取り入れる、最初の一歩は?

まずは自社の商品が「どの心理で選ばれているか」を1つ言語化することです。社会的証明で選ばれているのか、希少性なのか、共感なのか。上の39事例を、自社に近い業種・課題から1本読むと、応用の糸口が見つかります。

blogleでは、行動心理学の視点を戦略・コンセプト・クリエイティブの設計に落とし込む支援を行っています。「良い商品なのに伝わらない」「なんとなくの施策から抜け出したい」といった課題は、マーケティングコミュニケーション支援や経営・マーケティングのコンサルティングで、一段上流から一緒に解いていきます。

まずは、無料の壁打ち相談から

「この心理効果、自社ならどう使えるか」を、行動心理学の視点で一緒に整理します。売り込みの場ではありません。課題を言語化するだけでも、次の一手が見えてきます。

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encouragement makes future.(blogle)

よくある質問

行動心理学とは何ですか?

行動心理学とは、人が必ずしも合理的に判断せず、感情や状況、認知のクセ(バイアス)に影響されて意思決定することを前提に、その規則性を解き明かす学問です。近い領域に、同じ現象を経済学の立場から扱う行動経済学があります。

マーケティングに心理学は使えますか?

使えます。購買や来店といった行動の多くは無意識の心理に左右されるため、社会的証明・希少性・損失回避などの心理効果を理解して設計に組み込むと、同じ商品でも「伝わり方」と「動いてもらえる確率」が変わります。本ページの39事例は、その具体例です。

マケシリは誰が監修していますか?

臨床心理士・公認心理師・博士(心理学)で、blogle顧問の関屋裕希が監修しています。専門は職場のメンタルヘルスで、マケシリ全39回の心理学的解説を担当しています。

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